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『旅立ち』 さら
「三番線より電車が発車いたします」
親元を離れ一人暮らしをはじめた街
知らない人ばかりの中で慣れることができるか不安だった頃
それでも部屋を自分好みに染めていけることがうれしかった
カーテンの色は…
ベッドカバーとコーディネートしてみようか
チェストに置く観葉植物を探しに出てみよう
街で出会う人も地元とは違うように見えて不思議だった
キャンパスライフに胸躍らせて
席がたまたま横になった洋子との出会いは野暮ったい私に
オシャレすることを気づかせてもらえたよね
そして、私の心にそっとそよ風の如く吹き抜けていったあの人
いつものカフェで待ち合わせ
海を一緒に眺めるのが好きだった
何も一言も話さなくても気持ちは通じていたはず
そんな数年住み慣れた街をあとにする日がやってくるとは
思いもしなかったよ
ずっと見慣れてきた風景を車窓が過去へと連れ去っていく
また来るからね、きっと来るからね
降りだした粉雪が窓を濡らしていく
窓に映った私の顔、頬伝う涙をぬぐうことさえ忘れていた
ホラ、前を向いて歩いていくことを決意した大人の女が映っているでしょう
そっとつぶやいてみる
「とってもキレイ!だよ」
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